『推しが武道館いってくれたら死ぬ』感想
全アイドルオタクに捧げたい平尾アウリさんの『 推しが武道館いってくれたら死ぬ』
略して推し武道(と言うらしい)
あらすじ
岡山県で活動するマイナー地下アイドル【ChamJam】の、内気で人見知りな人気最下位メンバー【舞菜】に人生すべてを捧げて応援する熱狂的ファンがいる。収入は推しに貢ぐので、自分は高校時代の赤ジャージ。愛しすぎてライブ中に鼻血ブーする……伝説の女【えりぴよ】さん!舞菜が武道館のステージに立つ日まで…えりぴよの全身全霊傾けたドルヲタ活動は続くっ♥♥♥
感想
「女なのに女のアイドルオタクとか意味わからない」「かわいい~と言いながら、可愛いっていう私可愛いでしょ?」って言われ続けてきた人生。モーニング娘ど真ん中世代だったのに、気がつけばみんな他のことに夢中になっていて「まだアイドルなんて好きなの?」と聞かれた。悲しかった。
それでも私は女性アイドルが好きだった。ハロプロ、AKBグループ、乃木坂グループ、ももクロ、地方アイドル、地下アイドル...
アイドルがいればどんなにつらいことがあっても幸せになれた。別にアイドルになりたいわけじゃない。推しの笑顔が見れるだけで私は幸せになる。
そんなアイドルオタクのリアルがぎゅっと詰まった一冊。アイドルについて書いてある小説やマンガは結構あるけど、ドルオタ・ドル活について書いてあるのってなかなかないような気がする。
めちゃくちゃ心に刺さる言葉が散りばめられていて主人公えりぴよの言葉。
舞菜は私がいなくても何も思わないだろうけど私の人生には舞菜の1分1秒が必要なんです!!
わかる~(´;ω;`) わかりすぎる~
あなたの人生に私は干渉できないけれど、私の人生にはあなたの存在はたしかに大きいの
認知*1なんかされなくても、あなたがいるだけで私は幸せになれるんだ♡
グッズ購入で始発で並ぶ話、ファンレターの話、リア恋*2の話、推し被り拒否*3?な話...
ドルオタを殺す気か!!!というくらいの怒涛のドルオタあるある。あーこれ経験したことあるわ(白目)
中でも泣けたのはドルオタ仲間のくまささんの言葉。
僕はねぇ...僕なんかのことを相手してくれるのはれおがアイドルって仕事してるからこそだと思うから...
僕は誰の一番にもなれないってわかってますから僕が一番れおのことを好きでいたいんです...
泣いた...あんたいい男だよ...
そうなんだよ...アイドルだから相手してくれるんだよ...多分アイドルじゃなかったら見向きもされないんだよ...
さらに畳み掛けるようにえりぴよのこの言葉。
いや...相手が人間って怖いよね。絶対に好きか嫌いかで判断されるってことじゃんね。それってすげー怖くね?!
やめて!私のヒットポイントはもうゼロよ!!!
推しに嫌われる人生なんて無理過ぎる...
これ以上にドルオタに刺さるエピソードがたくさんある。ぼろっぼろ泣いてしまった。 え、なに?わたし?みたいな。え、実録取られてた?みたいなー?
まとめ
アイドルという存在は人間であるのに人間でないとどこかで思ってしまう。それはアイドルがアイドルとして見せている姿が、三宅健さんの言葉を借りるなら“虚像”だからなのかもしれないし、偶像崇拝だからかもしれない。
握手会などでひどい言葉をかけるオタクはアイドルを人間と思っていないのだ。しかし、「アイドルが居たから自分がいる」なんて言葉ももしかしたらアイドルに負担になっているのかもしれないと思ってゾッとした。アイドルだって人間だから、そんな重い気持ちは受け止められないのかもしれない。でも、たしかに「アイドルが居たから自分がいる」ということも理解してほしいというせめてものわがままだ。
それでも、私には今日も貴方の1分1秒が必要なんです。
アイドルオタクって業だな...